写真家としても活動しているRie(@rieasianlife)です。
今回は、前回に引き続き、中国の写真展「2019 丽水摄影节」で出会った、写真家の方々を一部ですがご紹介する記事になります。
日本に住んでいると、日本の写真家の方々の作品に触れる機会は多いと思いますが、中国にもたくさん素晴らしい作品を撮る方々がいらっしゃいます。
今回はそんな中国の素晴らしい写真家の方々を知って欲しい!という私の独断と偏見でご紹介しているので、ご了承ください汗
写真家の祭典「2019 丽水摄影节」について
2年に一回開催されているこの写真展、国际摄影讨论会は、今年で3回目。
「丽水摄影节」公式サイトはこちら(中国語)
期間は、2019年11月8日〜12日の5日間のみ。
今年のテーマは「丽水再出发」。
今年は108カ国が参加し、800を超える写真家の作品が町中で展示されていました。
イベントの詳しい内容はまた別記事にて書くので、お待ちください。
今回出会った写真家の方々をご紹介
もうすでに何人かの方々は、写真展から帰ってきてTwitterでご紹介させていただいていたのですが、他にもたくさんお勧めしたい方々がいるので、どんどんご紹介していきます!
ちなみに、私の作品と参加した感想についてはこちら

ただ、今回の写真展参加者が多すぎて、正直見ることができたのは多分10分の1くらいだと思います・・・。
もっとみたかったけど、時間も力も足りなかった・・・。
全部しっかり見るには1ヶ月は必要そうです笑
それでは、縁あって見ることができた作品と写真家さんたちどうぞ!
中国の写真家の先生「胡武功」老師
50年以上中国の報道写真家をされている 胡武功先生の作品。
レセプションパーティーでお会いしたのですが、物腰の柔らかい優しい雰囲気のおじいさんでした。
胡武功先生は、報道写真なので、時代時代に起こった事件を撮影されていますが、当時の生活風景も多く撮られており、時代背景を知るのにもすごく勉強になる写真でした。
波乱の世の中の中でも営まれている今とは違う日常。
日常写真の中からもどこか政治の香りがするなんとも言えない気持ちになる写真も多くありました。
語彙力がなさすぎて表現できないのが悔しい泣
先生の作品を見て、やはり報道写真はいいなと改めて私の方向性を再認識しました。
電車が大好きすぎる写真家「钱海峰」老師
今回の写真展にも江苏无锡から電車で8時間かけていらっしゃった、鉄道写真が好きすぎる写真家「钱海峰」先生。
鉄道自体を撮影されるわけではなく、鉄道の中での人々の様子を撮られる写真家さんです。
写真を撮った当時の切符がキャプションに添えられた電車の写真が本当に魅力的で大好きになりました。
瀬戸先生の隣(一番右)に写ってる钱海峰 先生。
ご本人も物腰が柔らかく、目が本当に優しい方でした・・・。
日頃は、ホテル勤めをされていて、休みをとって旅をして写真を撮られているそうです。
日本でも展示会をされることがあるらしいので、是非チェックしてみてください。
キャプションが素敵だった「华伟成」老師
ヘンテコ器具を出展されていた「华伟成」先生の作品「洋人街十二景」。
この写真を撮った場所は元々遊園地だった場所なんですが、2019年3月に取り壊しが完全に完了し、今は更地なんだとか。
ご本人がいらっしゃったんですが、何やら壁に書かれていて、よく見ると、キャプション!
ちなみに、キャプションって作者や撮った場所、時間、一言説明などが書かれることが多いんですが、このキャプションには物語が描かれています。
一つ一つのキャプションを読むのも楽しかったです。
直に壁に手書きしてあって、写真を撮った建物自体もこの展示会ブースもなくなってしまうと思うと尊さを感じる展示でした。
取り壊された家「杨国华」老師
取り壊された家の断面図と取り壊される前の部屋の様子を合成した作品「寻找」の「杨国华」先生。
この発想がまたすっごく面白い!
この合成の切れ目が全くなくて、本当に中身このまま壊されたかのような写真でした。
中国の田舎村では開発のため政府が一気に開拓を行うらしく、よくある風景だとボランティアの子が言っていました。
ワイワイと生活が営まられていた家がこんな無残になるリアル。
悲しいような、寂しいような、開発と生活の間にあるネガティブともまた違う時間に対する感覚を感じました。
日本人の知らない日本を撮る写真家「趟柏鈞」老師
800を超える写真家さんたちの中で、唯一日本語のタイトル「忘れられた守護神」とつけられていて(私が見つけた中では笑)おっ!となった東京在住の中国人写真家「趟柏鈞」先生の作品。
白黒の縦写真が整然と並んでいるスペースでシャキンとなぜか背筋が伸びました。
題材は日本の水槽棟。
水槽塔って、正直全然全く見たことがなかった・・・!
九州にもあるのかな?
日本人の知らない日本を教えてくれるまさに外国人目線の日本再発見ができる作品で面白かったです。
雑踏を白黒で撮られていた写真家「周傼顺」老師
「狂热的城市」と言う題名の作品を展示されていた写真家「周傼顺」先生の作品。
人が賑わう香港の街をシャッタースピードを遅くして、人がもやもやと動き回っているような写真。
香港はネオンからカラーが多いんですが、白黒なのが特に好きでした。
この時は政治的事件が多い時期だったので、雰囲気に特に訴えかけるものがありました。
あぁ、大好きな香港、早く行けるようになりたいな・・・。
幻想の世界にいるような風景写真家「胡亦鸣」老師
ディスプレイの裏からも光を当てて、異空間を演習されていた写真家「胡亦鸣(云漫)」先生の作品。
このブースは真っ暗で、入った瞬間、宇宙を漂っているような感覚に。
卡色光學全球形象大使(Kase光学のイメージ大使),瑞士阿尼帕相機榮譽攝影師(スイスALPAの名誉カメラマン),佳能合作攝影師(Canonパートナーカメラマン),電子工程博士(電子プログラマー博士),美國大學計算機專業終身教授(アメリカ計算機専業終身教授)と様々な役職を持たれている方。
名前を見るだけで機械にすごく強そう・・・!
ご本人がいらっしゃったので、いろいろ聞いてみたんですが、この写真は合成ではなく本当に本物の加工なしなんだとか・・・。
世界にはこんなに美しいところがあるんですね。
肉眼で見たらどんな世界なんだろう?旅人心をくすぐられる世界でした。
スマホLIVEの裏側を撮った写真家「赵晓春」老師
部屋自体が暗かったので、あまりきれいに取れてなくてごめんなさい!
この作品は「赵晓春」先生の作品で、タイトルは「义乌直播村」。
义乌は浙江省金华市中部にある街で、韓国のソウルのような卸売業者が集まる街らしい。
みんな携帯片手にLIVE配信をしている様子。面白いwwww
買い付けに来ている業者が直接LIVE放送しながら注文を受けている様子や、SNS投稿するために我先にと動画を撮っている方々の様子など、どれもクスッと笑っちゃうような楽しい写真でした。
様々な衝撃的な写真を組み合わせた作品「张兰坡」老師
张兰坡先生のこの作品は「巨人传」という名前の作品で、3メートルほどある巨大な作品で、全体を見ると圧倒的な圧力を感じます。
中央にある柱?剣?は権力の象徴だと話されていました。
柄の部分は、お寺の柱、先の部分は大砲など権力者に関連する写真が使われているそうです。
何よりその圧力は写真の大きさからだけでなく、一つ一つの部位からも・・・。
それもそのはず、この写真は様々な写真を組み合わせてるんですが、その中に死体の写真もかなりの数あります。
そんな衝撃的な被写体を使い、生命を感じさせられる作品でした。
インスタ映え現代写真家「邹京耀」老師
真っ暗な部屋に入って見るこの作品名は「网红打卡」 という邹京耀先生の作品。
网红はインターネットのインフルエンサーなどネットで人気の方のことで、打卡はチェックインという意味。
この写真を背景に自撮りをする体験型作品でした。
若い女の子たちは、我先にと自撮りをして、みんなワイワイ楽しそう!
チェキを持った作者が立っていて、羽の前で写真撮ってくれます。(写真はボランティアでついてきてくれた大学生の子)
写真展ってただ眺めるだけでなく、こんな面白い工夫もあることを知り、見にきてくれた方々と一緒に作品を作ることもできるんだなってことを知りました。
子供の成長写真を撮っていた写真家「汤凌霄」老師
自分の子供の写真で出展されていた南京在住の写真家「汤凌霄」先生の作品。
アップ写真が撮れていないのですが、奥の壁に飾られている子供の写真です。
雰囲気が日本の写真家の方に似ている感じで、明るめの色彩でほのぼの写真が多かったです。
唐先生のお弟子さんだったらしく、光栄にも写真集をいただきました!
どの写真も娘さんへの愛にあふれており、ほっこりしました。
その中でも特に大泣きしながら宿題してる写真が特に好きでした。
地元の方々の野外展示ディレクター「傅拥军」老師
この作品は、丽水の街中の昔ながらの路地「七条小巷」で展示されていました。
題して「让我们从此有关系(ここから私たちに関係させる、関係がある?)」。让はどう訳すのが正解だろうか・・・?
映画の主人公たちを村人たち「七条小巷居民」と定めて、ディレクターの傅拥军さんが様々なシーンを撮った作品たちです。
大きくない細い路地のあちこちに子供達やこの地域に住む方々の写真が飾られていて、ほっこりする作品展示でした。
これもイベントが終わるとなくなっちゃうのが本当にもったいない・・・泣
リアルを撮られる写真家「瀬戸正人」老師
最後に通訳に付き添わさせていただいていた「瀬戸正人」先生の作品「铯」。
福島原発事件の時、初めて記録写真家として現場入りされた先生の衝撃的な防御服やPC画面の写真。
今回の展示されていた写真の写真集はこちら。
こんな状況下でも成長する植物たちの様子。
この写真を撮影された時の心情などを話されている瀬戸先生の気持ちに心打たれました。
今回は、たまたま私が日本人で、たまたま中国語ができることから、通訳をさせていただき、先生のおかげでいろんな写真家さんたちと交流する機会をいただけて本当に貴重な体験でした。
いやもう、こんな貴重な体験は、今後ないのではと思ってしまうくらい汗
本当に、本当に、ありがとうございました!!!!!
参加した感想
生まれて初めてこんなに大きな展示会に参加して、本当に素晴らしい作品ばかりで、毎日、目をキラキラさせながらずっとひたすら膨大な写真を見ていました。
本当に楽しかった!!!!
いや、もう、本当に素晴らしかった!!!!!
感動と興奮とあの数日間は、思い出しただけで泣きそうです(いや、泣いてます)
いつか、また必ず自分の作品を持って、出展者として同じステージに立てるように成長していきたいと感じたし、もっともっとたくさんの中国人写真家の方々を知りたいと思いました。
今回参加した丽水摄影节以外にも、西安や上海、無錫など他にもこんなコンテストがあることを知りました。
一言で「写真」と言っても、私が知っていた写真の種類は本当にほんの少しだけ。
最古の撮影現像技法を使った「濕版攝影」や光や音との組み合わせ、合成、白黒、フィルムにデジタル。
技法だけでなく、何を撮るのか、どう撮るのかなど被写体の選択。
本当に写真は無限大の可能性を持っていることをひしひしと感じました。
私は台湾に住んでいて、中国とは政治的関係など様々な問題がある中で生活しているのですが、そういう話題(深刻ではないです!)に少しだけなりました。
私が台湾からきた日本人だと知ると、多くの方々が「いろんな問題はたくさんあるけど、僕は台湾に行ったことがあるよ!いいところだね!」とみんな話てくださり、本当に嬉しかった。
政治的な問題はたくさんあるけれど、作品や観光はそことは切り離して、台湾の魅力をもっともっと知って欲しいと思いました。
かなり大袈裟で自分でも笑っちゃうんですが、なんだか写真や文章で、台湾の魅力を伝えることが私の使命のようなものな気がしました。
また、写真家になりたてのひよっこな私に対しても、みなさん平等な目線で話をしてくださり、とても平和な交流会でした。
あーーーー楽しかった!!!!!!!
また、絶対、絶対に、あの場所に、戻って自分の作品を展示するぞ!
今回、2019年丽水摄影节の作品はこのサイトにまとめられていました。