台湾にある道教の廟を巡るのが好きなブロガーRie(@rieasianlife)です。
今回は、ずっと紹介したかったけど、資料集めや写真集めにすごく時間がかかって、放置していた記事。ずっと長文の記事を放置しておくのももったいないので、いったん公開することにしました。(でもまだまだ資料が足りないので、いつか追記すると思います。)
新莊地藏庵は個人的に、台北新北の中でもめちゃめちゃ好きな廟(なぜならここの官將首が最高にかっこいいから)。情熱がありすぎてあるもの全部見せたいから、いつもより写真が多いので、工夫して配置してます。
では、廟好きな方お楽しみください笑
※いろんな中国語の資料などを集めて書いてますが、もしかしたら解釈が間違っている部分もあるかも、その時は修正するのでこっそりとご指摘くださいm(_ _)m
新莊地藏庵について
新莊地藏庵は、新北市の新莊にある道教廟で、大眾廟、大眾爺廟とも呼ばれています。お寺が建てられたのは、清の時代、乾隆廿二年(1757年)と言われており、250年以上の歴史のある古いお寺です。
名前の通り、祀られている神様は「大眾爺」。大眾爺(大將爺)というのは、男性の魂で、もし女性の場合は、大眾媽と言います。現在は地蔵菩薩(藏王菩薩)をメイン神様とされていますが、地蔵菩薩が来る前から信仰されていたのは大眾爺です。
つまりここは、神様というよりは人の魂を鎮めるためにできた廟なので陰廟。(ただ、陽廟だという人もちらほら・・・いや、多分歴史を見ると元々は陰廟です)
その他にも、董大爺、目蓮尊者、十殿閻羅、註生娘娘、境主公、土地公、三寶佛、觀音菩薩などが祀られています。台湾民間宗教と仏教と道教が混ざっており、独自の文化を持っています。
まずは入り口から!
入り口の門の近くには、小さな池があり、亀がたまに日光浴しています。
新莊地藏庵といえば、道からは本堂が見えず、この門が印象的です。
右側の石には「民國癸已年(民国30年:1941年)春」と書かれているので、後から追加された石ですね。
あれ?でも1941年って、日本時代の昭和16年だな、うーん???と思って調べてみたところ・・・。
張仁甫 “畫中有話:泰山地區老照片專輯” 國家圖書館臺灣記憶系統 2005
引用:國家圖書館 臺灣記憶
ここでは、日本時代1939年11月15日に建てられた「新莊神社」の一部だということが判明!
結婚式を挙げられてた写真が国家図書館の電子資料に残っていました!
新莊神社の社掌(今でいう宮司)は、井上一夫さんという方で 昭和13〜19年勤められていました。
新莊神社は、元々ここから少し北に行った「和泰豐田汽車新莊服務(TOYOTA自動車の営業所)」にあり、明治天皇、倉稻魂大神、北白川宮能久親王を祭神としていたそうです。
日本が撤退した後、1950年に国民党政府が取り壊し、「新興血清研究所」という施設になり、その後、和泰汽車に土地を売られて現在に至る。
ここには、戦禍を逃れ新莊神社の一部が残っています!
この写真は門の外側から見て右側にいる狛犬と灯籠、後から写真が出てきますが、御神輿もあり、「奉献」という日本語の文字が書かれています。
この写真を撮っていた日は、ちょうど新莊大拜拜の日(旧暦5月1日)。
長い本堂までの通路も人がたくさん行き来してました。
以前ご紹介した「新莊大拜拜」の様子はこちら
【台北:新莊】地蔵庵の文武大眾爺が街中を練り歩く暗訪「新莊大拜拜」の様子
本堂の目の前にある駐車場に神様に捧げる劇を披露するステージもできてました。
この迫力はすごい!
今まで見た中でも最大級に大きなステージでした。
ちなみに、元々祭事がない時はこんな感じです。
いよいよ本堂をご紹介!
このきらびやかさすごくないですか!!!!
上記の写真はとくに祭事の時ではなく、通常時で、左右に赤い鳥居のような門と提灯があり、その下に獅子がいます。
左側にお供物を購入する売店があります。
本殿は、清嘉慶18年(1813年)、光緒元年(1875年)、明治44年(1911年)、民国61年(1972年)、民国85年(1997年)に立て直しをされています。
なかなか前に進めませんが、本堂の敷地内に入りました笑
装飾が本当に素晴らしくですね・・・屋根には沢山の小人ちゃん(なんていう名称だろう?)。
男の子や仙女らしき姿も、守神のように柱ごとに支えていたりはよくありますが、こんなにたくさん普通の廟にもありましたっけ?
お堂に入る部分の天井ってつい見ちゃいません?
ここはデカすぎるからか、中央の丸い部分の他に柱?通路?の部分にも2つの円形の天井がありました。
こちらは本堂に入る時にいた獅子や龍とそのほか彫りの皆様。
獅子は顔が丸めですごく可愛いです!!!!!
こちらが神様たちの配置図。
1階と2階に様々な神様たちがいらっしゃり、図の順番に沿ってお参りをしていきます。
- ① 天公爐
- ② 地藏王菩薩、境主公、註生娘娘
- ③ 三寶彿
- ④ 觀音彿祖
- ⑤ 目蓮尊者、十殿閻王
- ⑥ 文武大眾老爺、文武判官、謝,范將軍
- ⑦ 乩壇
- ⑧ 董大爺、虎爺
- ⑨ 土地公
- ⑩ 功德廳
1階
入ってすぐは、他の廟と同じような作りで中庭のような空間になっています。
ここのテーブルにお供物をおきます。
壁のイラストもすごく興味深いです!
よくみると左下には、猫、犬、ウサギ、虎、蛇など動物が描かれていたりしてました。
ここの虎爺は6尊いらっしゃり、顔もすごく似ていますが、1尊だけちょっと違うみたい。
これにも理由がありそうですね、調べてみてわかったら追記します。
虎爺の目の前には、地獄の拷問で使う武器?が置いてありました。
虎爺についてはこちら
【台湾の文化】至る所にある廟で神様を守っている「虎爺(フーイエ)」が好きすぎる!
この線香の置き方が本当に良いです。←細かいw
台北では筒形の置き方とこんな風に格子型の置き方の2種類くらいが定番かと思うんですが、より市内から離れると格子型になっていってるような。
淡水の廟でもこんな置き方だったような気がします。
この英数字じゃなく、感じで干支で書かれてるくじの引き出しもいいいいいいいい!
本当に良いいい!
2階
ここからは特に日本人必見です!
2階に上がると、神様と共に様々な文物が保管展示されています。この写真を撮った日は雨が降ってたんですが、廟は雨の日でも見て回れるのでいいですよね。
こちらが、新莊神社時代の御神輿(100年以上の歴史文化遺産です)。
細かい装飾もしっかりと残っていて、台湾の方々保存してくれて本当にありがとう!という気持ちになります。
太歲っていうのは、自分の生まれ日(旧暦で計算)で算出する神様。左の画像のように毎年の年齢と共に一覧表が公開されます。
自分が民国何年生まれかはこちらで計算方法を記載してます。
太歲は毎年担当する神様が変わるので、自分の干支になったら、台湾では厄年となり、厄払いを行います。
私も今年は卯年で台湾の厄年にあたるので、やってきました!
【台湾の文化】干支の年に受ける台湾の厄払い「安太歲」を受けてきました。
2階からは1階にある太鼓や飾りをより近くから見ることができます。
廟の1階って出口入り口の左右に和太鼓と鐘がありますよね。あれたまーに鳴ってるの見たことがあるんですが、いつならすんだろ?
終わりに
以上、新莊地藏庵をざっとですがご紹介しました!
実はまだまだ情報が足りてません・・・本当は神様とかもご紹介したかったんですが、なかなか写真を撮りにいけずだったので、いつかまた台北に写真を撮りに行くことがあれば追記します!
おまけ
新莊は街自体が宗教色が強いです。地下鉄の駅にはこんな布袋戲の人形が飾ってあったり、地藏庵の近くには和太鼓を製造している工場があったり。
もちろん、周辺にもたくさんの小さな廟や史跡があります。(国定古跡「廣福宮」、「文昌祠」「慈裕宮」、「福德祠」、「米市巷」など)宗教や史跡好きな方なら、ここを見て回るのもめちゃめちゃ面白いです!
新莊地藏庵へのアクセスと詳細
新莊地藏庵(HP)
電話 電話:(02)2993-6810 (02)2993-6774
住所 新北市新莊區中正路84號
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