台湾のお寺大好きブロガーRie(@rieasianlife)です。
今回は先日、見学してきた台湾のお寺の祭事「新莊大拜拜」についてご紹介します!
新莊地藏庵について
新莊地藏庵は、新北市の新莊にあるお寺で、大眾廟、大眾爺廟とも呼ばれています。
お寺が建てられたのは、清治時代、乾隆廿二年(1757年)と言われており、250年以上の歴史のある古いお寺です。
名前の通り、祀られている神様は「大眾爺」。
現在は地蔵菩薩(藏王菩薩)をメインの神様とされていますが、地蔵菩薩が来る前から信仰されていたのは大眾爺です。
その他にも、董大爺、目蓮尊者、十殿閻羅、註生娘娘、境主公、土地公、三寶佛、觀音菩薩などが祀られています。
台湾民間宗教と仏教と道教が混ざっており、独自の文化を持っています。
新莊大拜拜って???
新莊大拜拜とは、名前の通り「新莊」で行われる「大きな」「拜拜(お参り)」です。
これは通称で、本当の名前は「文武大眾爺祭典」。
新莊大拜拜の歴史と概要
新莊大拜拜は、新莊地藏庵にいらっしゃる「文武大眾爺」の祭典です。
文武大眾爺は、もともとは道教(緝拿惡鬼)の司法の神様。
18世紀半ば〜19世紀にかけてこの地域一帯で起こった、漢族とビン南族の争い「閩客械鬥」の際、戦いや貧困などで亡くなった魂の供養を行うために置かれたと言われています。
毎年、農曆5月1日の前後1日を含め3日間行われます。
1日前(四月三十)を「暗訪」、当日(五月初一)を「日巡」と呼ばれており、この2日間は、神様が官將首や神將をつれて周辺を練り歩きます。
始まった起源は、日本統治時代の大正元年だと言われています。
新莊には「新莊有三熱,火燒厝,拔龍船,五月初一(新莊には3つの賑わいごとがある、火燒厝、拔龍船、五月初一)」ということわざがあるくらい有名な3大祭りの一つです。
1日に500〜600万台湾ドル(約2000万円)の費用がかけられているそうです。
三獻禮の他、神尊過火儀式で厄除け、平安湯圓、炒麵、油飯などの福を呼ぶ食べ物が振る舞われます。
今年は、台湾各地の40のお寺から1000人以上が参加した大規模な物だったそうです。
2019年の今年は6月2日が「暗訪」、3日が「日巡」でした。
初日の暗訪は、午後14時から始まり深夜遅くまで続きました。
今年は日曜だった事もあり「暗訪」に参加してきました!
巡回経路について
毎年の巡回経路が公式サイトで発表されます。
引用: 新莊地藏庵、遶境路線圖
↑こちらは暗訪(農曆四月廿九日)の経路。
引用: 新莊地藏庵、遶境路線圖
こちらは日巡(農曆五月初一日)の経路。
2日間で経路が違うので気をつけてください。
当日の様子
なにより一番注目したいのは「官將首」!
官將首は、日本統治(大正)時代に始まったと言われており、新竹よりも北部のお寺でしか見られなかった役割。
当時の新莊大拜拜の時、周辺に住む新莊人や新莊地藏庵の組織「俊賢堂」が参加し「官將首」という組織を結成した事が始まりとされています。
現在では、台湾各地にも広がっているらしく、100団体ほどの組織があります。
主に、文武大眾爺のボディーガードや隠密のような役割をします。
昼過ぎから始まる式典ですが、官將首はもっともっと早くから集合し、化粧をします。
装着している飾りも多く、重い、さらに演舞も行います。
汗をかくともちろん化粧が崩れてしまうので、休憩を挟みつつ、深夜まで儀式を行います。
あぁ、ほんとにかっこいい・・・・。
官將首は、文化部文化資產局の無形資產保存人才庫にも登録されています。
毎年代々と受け継がれている俊賢堂所属の官將首が出陣式「喊班」を行いスタートします。
喊班とは、今回の巡業の範囲や目的を神様にご報告することです。
短いですが、会場はこんな感じで人がたくさんぎゅうぎゅうになりながら撮影しています。
顔が白と黒の陰陽太極の「陰陽司公」も参加されています。
出陣式が終わるとお寺を後に街を練り歩きます。
この背の高い将軍は「謝将軍(七爺)」。
こちらの小さい方が「范将軍(八爺)」。
ちなみに、七爺八爺は神様の将軍になる前の人間だった頃、とても仲良しだった軍人2人組。
ある洪水の日に、小さい方の八爺が溺れ死んだのを悲しんだ七爺は、後を追って自殺をしたという伝説があります。
そのため、七爺は、よく舌を出しているのですが、首吊り自殺をしたかららしいです。
2人の役割は、悪魔(飢餓や病気)を成敗したり、裁判にかけたりする役割を持っています。
この神様は、比較的台湾のどこのお寺にもいるので探してみてください。
黄色い虎柄の服を着ている同じ新莊にある「虎爺宮」の虎將(虎将軍)。
練り歩く間に爆竹で黄色い服が真っ黒になることで有名です。
爆竹が終わった後のお寺の参道。
すごい量の爆竹の空箱が散らばっています。
道路は交通規制されるので、警察官もたくさん配備されます。
街中はこんな感じで、行列が動くたびに人も動きます。
各お寺に拠点があり儀式が行われるので、その度に大量の人だかりができます。
多くはないですが、屋台も出てます。
しかも、こんな輪っか状のねぎ餅も売られていました。
将軍たちや官將首の首に下がっている輪っかのパン「鹹光餅(シェングァンビン)」を模した形です。
平安餅(ピンアンビン)とも呼ばれ、当日各スポットでも小さな「鹹光餅」が無料で配られます。
食べると平安になると言われています。
参加してみた感想
お寺自体は何度かきたことがあったのですが、新莊大拜拜に参加したのは初めてでした。
今回台湾在住5年目にして初めて参加しました。
たまたま写真にはまって、インスタで見つけたこの神事。
1年に1度しか行われない神事に参加できて本当にラッキーでした。
それと、不思議なことがありました。
最後尾の神様が出発し終わると、大粒のスコールが降り出しました。
雨自体は10分程度で止んだんですが、式典中や神様が出発している途中ではなく、全てが車を動かして門をくぐった瞬間に降り出しました。
「あぁ、神事ってこういうことか」とここで腑に落ちた気分でした。
来年も参加しようと思っています。
当日の記録動画です↓
新莊地藏庵へのアクセス
新莊地藏庵(HP)
電話 電話:(02)2993-6810 (02)2993-6774
住所 新北市新莊區中正路84號
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