廟を見つけては除いて鑑賞せずにはいられないRie(@rieasianlife)です。
私は台湾の廟を見学するのが好きなのですが信者の方々が神様に祈られている風景以外だけではなく、廟の芸術を見るのも好きです。
門を守る神様から始まり、神様たちの彫刻、石柱彫刻、壁画の物語の絵柄などとても惹かれます。ある廟は色鮮やかで派手だったり、ある廟は厳格な雰囲気が流れていたり。
そんな私のような廟アート好きな方にぴったりな展示が台南市美術館で開催されています!
台南市美術館1館にて展示
今回の展示場所は、台南の孔子廟のすぐ近くにある「台南市美術館 1号館」の2階で開催されています。近年できた白亜の大きな建物は2号館なので、行かれる際はその近くにある小さな1号館に向かってください。
この普通チケット(大人200元)で、1号館と2号館の両方を見ることができます。
ちなみに、この台南市美術館1号館自体も元台南警察署で歴史建築物ですよ。
六甲恆安宮 彩繪門神(潘春源)
チケットを購入して2階に上がるとこんなどでかい門番の神様「門神」が待ち構えており、ここからが【春源畫室:畫師—詩人—劇作家—承繼者】の展示スタート。
この展示は、台湾の民俗信仰の伝統芸術作品を作成されている画室「春源畫室」の芸術家の作品を紹介しているものです。
春源畫室:畫師—詩人—劇作家—承繼者
期間 2023.06.22 ~ 2023.11.12
場所 臺南市美術館1館 2F展覽室展覽室B-G
キュレーター 蕭楷競、莊雅雯
指導 臺南市政府
主催 臺南市美術館
作品数はかなり多くて、美しい作品だったり可愛らしい作品だったり種類もかなり豊富です。
その中から私が個人的に印象に残った作品をピックアップしてご紹介します!
そもそも「春源畫室」って?
潘春源さんが1909年、19歳の時に台南の忠義路三官廟の近くで開いたアトリエが「春源畫室」。3世代の芸術家3人が115年間をかけて経営されている画室です。
- 潘春源(1891-1972)絵師、詩人
- 潘麗水(1914-1995)絵師、脚本家、活動弁士
- 潘瀛洲(1916- 2004)と潘岳雄(1943-)絵師、継承者
展示では、この3人のことを表すサブタイトル「畫師—詩人—劇作家—承繼者」がつけられています。
当時は日本時代初期、日本政府は衛生整備と風土文化の調査の時期で、台湾人に対してそこまで強い弾圧もなく、たくさんの廟が建築されたりと民間芸術は発展をしていたそうです。当時は台湾のアート業界も盛り上がりを見せていた頃で、春源は第二回台湾美術展覧会(1928年)にて「牧場所見」で入選、その後6年連続入選を果たしています。
ただ、1938年以降日本政府の公民化運動により、台湾の伝統信仰は弾圧されていき、作品数も減っていきます。1945年の終戦後は、本拠地を安平に移し、作品数も少なく細々と暮らされていました。1947年台南市の三官堂と五帝廟が完成。1952年には善化慶安宮の壁画、1958年ごろには關廟山西宮、六甲媽祖廟の門神が完成しています。また、潘春源さんは1950年以降、台南市美術展覧会の評価委員も務められ、台南市国立研究顧問として活躍されていました。
ちなみに、3代目の潘岳雄さんはアメリカ軍の施設で絵師として働いていたこともあるらしく、左の手紙はその時のもの。当時はちょうど第二次世界大戦が終結し、米軍が撤退し中華民国軍が台湾にやってきた時に退職され、そこから廟芸術をやるようになったとのことでした。(潘岳雄老師訪談より)
印象に残った作品の紹介
- 彌月臥虎(1956年 潘春源)
- 花鳥圖(1945年 潘春源)
- 松鼠(1978年 潘春水)
動物シリーズが飾られていたこのコーナー。鋭くまっすぐと見つめてくる虎がどれよりもかっこよかった!リスの絵だけ潘春水の作品なんですが、サインがなければ、何も言われないと同じ人が書いたのかと思うほどタッチが似ていました。
- 聖母升天(1979年 潘春水)台中天主教區主教公署
- たぶん、玉皇大帝か關公
台湾の道教の廟にある作品の中に、一際目立つマリア様の絵。まさかこのタッチで、西洋のイラストまで描かれているとは思いませんでした。
- 八仙大鬧東海(1973年 潘春水)大龍峒保安宮
- 虎牢關三戰呂布(1973年 潘春水)大龍峒保安宮
これすごく面白かった絵の一つ。台湾には八仙っていう8人の神様を刺繍し作った布を門や出入り口の上にかける習慣があるんですが、上の絵は、その八仙が賑やかに遊んでいるような壁画イラストです。下の絵は、呂軍、關軍、劉軍が争っている三国志のワンシーンですかね。
どれも私が台北に住んでいた頃よく行っていた大龍峒保安宮の壁画に描かれているらしく、見逃していました!次行ったら生でみよう。
- 八仙長摺頁(潘春源だと思う)
その八仙の下にあった、ジャバラのイラストも面白かった!中には十六羅漢の皆さんが描かれていて、それぞれの性格がわかりやすくて可愛かったです。
- 牛車(1929年 潘春源)台北市美術館
この牛車の絵は1929年の第3回臺展で東洋部門で入線したもの。長期の荷物を運ぶ黄色い牛が緑の木下で休憩している様子を描かれています。(台展資料庫)
- 桃花だった気がする(潘春源)
この天女のような美しい女性を見かけるシーンの絵は、まさに桃花(笑)水墨画ですが、ピンクや白などの色も使ってあって、可愛い印象を持ちました。
- 五虎將 張飛(潘瀛洲)
- 五虎將 黃忠(潘瀛洲)
- タイ旅行の思い出(潘瀛洲)
- 家將圖(1968年 潘瀛洲)
このイラストたち可愛くないですか!!!!ちょっとデフォルメされた将軍たちはこれ以外に5枚だったかなありました。また潘瀛洲さんは海外旅行も好きだったみたいで、旅行先で見た思い出を絵にされていたりもして、面白かったです。
最後のこのウサギや鳥などのスケッチイラストも展示されていて、これだけでもすごく可愛かった・・・。
今回の展示は作品数もさることながら、私たちにさまざまな角度から民俗信仰芸術を理解させてくれるとても興味深い展示でした。展示期間も長いので、ゆっくりと鑑賞できるので、何度も楽しめそうです。私も最低でも2回は行かなきゃ!
もし台南に行かれる際は、見に行ってみてくださいー!
春源畫室:畫師—詩人—劇作家—承繼者
期間 2023.06.22 ~ 2023.11.12
場所 臺南市美術館1館 2F展覽室展覽室B-G
キュレーター 蕭楷競、莊雅雯
指導 臺南市政府
主催 臺南市美術館
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