【高雄:鹽埕埔】創業100年以上!現存する高雄唯一の信用組合、高雄三信の歴史を展示する「歷史文物館」

文化・アート
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散歩するのが好きで、気になったお店や場所を見つけるとふらりとみに行くRie(X rieasianlife、IG taiwanandasia1708)です。

今回ご紹介する博物館「歷史文物館」は、いつものように鹽埕エリアを散歩していてふと看板を見つけたので、入ってみたところ(笑)

なので、全く前知識なしで行ったんですが、とっても素敵で勉強になる場所で、面白かったです!

*資料を調べながら記事を書いていますが、もし間違い等ございましたら、お知らせください。

 

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第三信用銀行について

博物館があるのは、この建物「高雄市第三信用合作社」という現在でも営業されている信用組合の中。高雄三信や三信の愛称で呼ばれています。

信用組合とは、「相互扶助」を理念とし、中小企業・小規模事業者等や地域、業域、職域の生活者がお互いに支え合い、夢をかなえるために、一人ひとりが預金しあい、必要な時に適切な審査のもとに融資することを使命とする「中小企業等協同組合法」に基づく協同組合組織の金融機関です。(by全国信用組合中央協会

つまり、会員が貯金をしあって、お金が必要な会員に融資する金融機関。

台湾の信用組合は日本時代発祥なので、時代によって少し変化してる可能性はありますが、基礎的な考え方は台湾も同じだと思って大丈夫だと思います。

歷史文物館HP
開放時間 9:00~15:30
住所 高雄市鹽埕區大仁路141號

中の博物館の紹介の前に、銀行と建築の簡単な説明看板が外壁に設置してあります。(なんと中国語以外に日本語の翻訳がすぐ近くにあります!英語はなく、なぜか日本語のみ!)この建物は建設当時(日本時代の1935年)の高雄の3大建造物に指定されるくらいすごい場所だったんですね。

以下、看板の文章そのままの書き起こしです。

 この建物は、1935年(昭和10年、民国24年)に完工し、面積は222.33坪で、日本植民地時代である「高雄興業信用組合」の組合長-黃慶雲により提案されました。林迦、胡知頭、黃德明、馮課、黃盤銘、楊春安、李炳森、莊媽江及李仲麟などの理事及び監事から支持を得られ、澎湖会館(後の金城劇場、両者は取り壊した)で、第18回、第19回社員総会を通過し、建設を始めました。設計者は蔡欲修で、建設業者は郭延でした。土地代は当時の金額でおよそ3000円で、総工費は3万円でした。当時、高雄州廳(現在の高雄地方裁判所)、公会堂(鼓山警察局の現地)と共に、高雄の三大建造物に指定されました。
1945年に(民国34年)、高雄が連合国軍機により攻撃され、この建物も小さな障害がありました。戦後の1947年に「高雄大三信用合作社」と解明され、1978年まで、この建物に総社を設置されました。戦後、この建物の3階も、国軍の松湖転属部隊とその家族を、約10年間に使用され、1958年に帰還されました。その後、大講堂に改築され、社員の結婚式や各種イベントなどに使用されました。この建物が何度も一部を新しく作り直されましたが、様式はほぼ同じでした。現在、塩埕支店として使われ、歴史観も開催いたします。

ちなみに、設計士の蔡欲修さんは澎湖出身で台湾人で初めて名古屋工業大学を卒業した方らしいです。

ちなみに、創業当時の写真が博物館の中にありました。確かに今と全く変わらない外観デザインですね!

写真は1949年の第二次世界大戦後のようで、外看板にあった日本軍が去って、中国大陸から国民党がやってきた時の様子の文章もここに添えてありました。

營業廳外,立有軍隊標語,係因當時本社三樓全部樓層及一樓部份空間,提供給撤退來台之吳淞要塞部隊十餘名將士住宿使用。
意訳:営業していたフロア以外には、軍事標語が掲げられ、当時の3階全てと1階部分は撤退してきた吳淞地域の兵隊数名が宿舎として提供していた。

全体的な歴史の流れはこんな感じ。

  • 1900年3月7日 日本の組合法「產業組合法」が成立、9月1日施行
  • 1909年 新原龍太郎など四十八人は新原家で「新竹貯金会」設立
  • 1910年 古賀三千人、楠田金之丞らにより「打狗信用組合」設立 ←高雄第一信用合作社の前身
  • 1913年2月10日 台湾の組合法「台灣產業組合規則」が成立、3月1日施行
    これにより、新竹貯金会は、新竹信用組合に改編され台湾で初めての組合が誕生。
  • 1914年 旗後人の葉宗祺が台湾人だけの「高砂信用組合」設立 ←高雄第二信用合作社の前身
  • 1917年8月7日 「中洲庄漁業者信用販賣購買組合」創立 ←高雄第三信用合作社の前身
  • 1920年1月20日 有限責任「中洲漁業者信用販賣購買生產組合」改変
  • 1926年4月29日 有限責任「興業信用組合」改組 ←ここまで日本時代
  • 1947年1月20日 保證責任「高雄市第三信用合作社」改制

つまり、日本時代はまず日本人が日本の法律に従って、信用組合を作り、その後、台湾にも法律が適用されたので、台湾人独自の信用組合が作られていったというわけですね。

博物館自体は、民国102年(2013年)8月7日に創立96周年を記念して作られました。

ちなみに、高雄市第三信用合作社になってから今の「結合」「平等」「共同」の意味を込めた3つの円を重ねたロゴになったそうです。また、円を囲む3つの線は、「社員」「力量」「服務」を意味しているそうです。

参考:高雄第三信用合作社>認識我們 > 歷史沿革
参考:高雄第三信用合作社>認識我們 > 歷史文物館
参考:新竹市政府>市指定遺跡新竹信用組合

 

なんとなく、三信のことを理解したところで、文物館の中に入ってみましょう!!!

 

文物館があるのは銀行の中

普通の銀行の一画に博物館スペースが設けられていて、無料で見学することができます。

ただ、時間も銀行の空いてる時間しか見学ができないので、平日の9:00~15:30のみなので行かれる際は気をつけてくださね。

入ってすぐ右手に警備員の方がいらっしゃるので、「見せてください(請讓我看一下博物館)」など、ひとこと挨拶して入ると良いと思います。

実際に使われていた道具や当時の写真がガラス張りの文物間スペースにたくさん展示されています。

その数ほんとに多いので、一つずつ読んでいくと1時間くらいかかってしまうレベル。

どの展示も興味深いんですが、全部は見切れないので、個人的な見どころポイントを紹介していきたいと思います!

 

個人的な見どころポイント

まずは、この高雄三信でとても大事な人物、創立者の「林迦」さんの肖像画と創立時の関係者の写真。

林迦さんは、第二次世界大戦後初めての高雄市塩埕区長で、中洲漁業者購買生產組合の理事を務め、国民大会代表の林瓊瑤(林迦の息子)とともに高雄三信を創立しました。この肖像画の近くに年表もあります。

ちなみに、林迦(高雄三信)、駱榮金(友松醫院)、黃慶雲(慶雲藥行)、胡知頭(東洋旅社)、蔡媽基(媽基
旅館)の五人は、高雄に多大なる影響を与えた「鹽埕五虎」と呼ばれていたそうです。

このストーリーも調べるとかなり面白そうなのでいつか。(参考:高雄小故事│記錄‧覆鼎金

続きまして、こちらは日本人ととっても関係ある展示物。

そうタイトルどうり「引継書」。

日本が撤退した時、第5代目組合長「手貝千代志」と日本人役員が離職し、理事会が推薦した「李炳森」が代表利子として興業信用組合のすべての資産を引継ぎました。この引継書はその時に引き継ぐものを記載したもの。原文は以下。

日本戰敗投降後,官派日籍組合長手貝千代志及日籍役員辭職,由理事會推派李炳森位代表理事,接管興業信用組合所有資產(現金、建物、各項事務器具等財產),並行使組合長職權。

この四角い枠のついたまな板のような板、なんだと思いますか?

この道具の名前は「點幣工具」。そうコインを数える道具。日本語では「銭枡(ぜにます)」と呼ばれていたもので、日本では江戸時代から使われていたらしいので、多分日本から台湾へ伝わったんじゃないかなと思われます(予想)

こちらは、歴代使われていたネクタイ。

ネクタイは現在では台湾のサラリーマンでもスーツ自体着てる人は多くはないのですが、スーツ文化は日本から台湾に伝わったと思われます。その証拠に、台湾語で背広を「セビロ」と言います。

こちらは、三信民曆。民曆っていうのはカレンダーのこと。

廟などで毎年1回農暦や神様のお参りのタイミングなどを記載してあるカレンダーを配られるんですが、これは三信に関わるイベントや日常のイベントが記載されていたのかしら?

干支十二支がすべて揃っていて、どれも可愛かったです。

こちらは、文物館エリアではなく、その向かいの壁にかかっていた当時の写真。

作業スペースが中央にあり、上から撮った写真で、台湾の時代劇「茶金」でも出てきた金融機関のシーン(幣制改革によりお金の価値が暴落したシーン)の構図に似ていました。

 

歷史文物館へのアクセスと詳細

 

歷史文物館HP
開放時間 9:00~15:30
住所 高雄市鹽埕區大仁路141號

 

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