台湾は2月28日は和平記念日でお休みです。
その日は、1947年2月28日に起こった二二八事件を忘れないようにと制定された日。
台北に「二二八公園」がありますが、高雄にも二二八事件に関係する歴史的な施設があります。
二二八事件について
日清戦争に勝利した日本は、1895年の下関条約から第二次世界大戦終結の1945年までの50年間、台湾は日本統治下にありました。
この日本統治時代は、インフラ整備、日本語教育が行われており、日本の思想が広まっていました。
しかし、1945年日本が敗戦、日本人や日本の思想が台湾から強制的に撤退。
蒋介石率いる、中国国民党官僚や軍人が台湾統治へやってきます。
50年も日本だった台湾にとって、中国の統治はいままでとは全く違い、混乱されていたようです。
有名な言葉に「狗去豬來(犬が去って、豚が来た)」という言葉があります。
意味は、賛否両論あるので、ここでは記載しません。
Google検索してみてください。
二二八事件のきっかけとなったのは、台北で煙草を闇市で販売していた女性が暴行された事件。
そこから火がつき、本省人(台湾に住んでいた人)と外省人(中国から渡ってきた人)の大規模な暴動へと発展していきました。
その南部の舞台、事件の拠点となったのが、元日本統治時代の市役所だった「高雄市歴史博物館」。
高雄市歴史博物館について
MRT市議会駅から徒歩五分、愛河を見渡す場所にあります。
ずっと外壁の工事をしていたのですが、やっと工事が終わり全体を見ることができるようになってました。
パステル調の黄緑色の塗装と緑の屋根、ベージュの壁、なんとも可愛らしい外観です。
こちらが当時の高雄市歴史博物館(旧高雄市役所)の写真。
白黒写真なので色はわかりませんが、形も様式も当時のままなのが分かります。
高雄市歴史博物館は1924年(大正13年)12月25日に高雄市役所として湊町四丁目(今の旗山區代天宮)に建てられました。
1939年(昭和14年)に日本政府の市政府機関の東移動に伴い、建物も現在の鹽埕區に移動してきました。
1945年に第二次世界大戦終幕後、高雄市役所はそのまま高雄市政府として引き渡され、高雄の政府中心拠点として重要な役割を果たしました。
1992年(民国81年)、市政府の拠点が苓雅區四維三路2號の「合署辦公大樓」というビジネスビルに移転し、市政府としての役割は終わったのですが、1998年(民国87年)10月25日正式に博物館として新しく生まれ変わりました。
引用:高雄市歴史博物館ー大事紀より参照
2018年10月25日は、博物館として生まれ変わってちょうど20歳の誕生日。
公式サイトなどで式典の様子が公開されていました。
この外観にあるレリーフも当時のまま再現されているので、是非外壁も見てみてくださいね。
中にはどんな展示があるの?
入って中央にある大理石の大階段と時計は当時のまま。
時計は今も現役。しっかりと時間を刻んでいます。
階段の裏側にはこんな詩が刻まれています↓
以下、石碑の文章意訳です。
〈讓春天從高雄出發〉 余光中
讓春天從高雄登陸 (春は高雄から登る)
讓海峽用每一陣潮水 (海峡は常に一群の塩水を使って)
讓潮水用每一陣浪花 (塩水は常に一群の波しぶきを上げて)
向長長的堤岸呼喊 (長い長い堤防に向かって叫ぼう)
太陽回來了,從南回歸線 (太陽が帰ってきた、南回帰線から)
春天回來了,從南中國海 (春が帰ってきた、南中国海から)
讓春天從高雄登陸 (春は高雄から登る)
這轟動南部的消息 (この沸き立つ南部の吐息)
讓木棉花的火把 (木綿の花の松明を掴み)
用越野賽跑的速度 (長距離走のスピードで)
一路向北方傳達 (北へ向けて伝えていこう)
讓春天從高雄出發 (春は高雄から始まる)
余光中は、中山大學文學院院長兼外文研究所所長を務めた人物です。教職をしながら、文学者としても知名度のある方です。
上記の詩《讓春天從高雄出發》を発表された時に、記者に「この詩はどうやって考えられたのか」聞かれたところ、余光中はこう答えられています。
「你看,台北不論那一方面都跑在高雄之前,但有個東西它不可能先有。
什麼呢?高雄位在南方,春天的第一個氣息一定先在高雄出現!」(台北はどの分野においても高雄の前を歩いているが、いくつかはそれができないものがある。
なんだと思うかい?高雄は南に位置しているから、春は一番最初に高雄に現れるんだよ!)
単純に季節を喜ぶ詩として解説されていますが、それが二二八事件の南部発端となった高雄市歴史博物館のそれも一見隠れた階段の裏あたりに彫り込まれているあたり、当時の高雄人の熱い想いを感じずにはいられず、思わずうるっとしてしまいます。
常設展示では、二二八事件関連の書籍や日本統治時代の資料なども展示してあります。
当時の暴動の様子を映像やジオラマもあり、歴史を学ぶことができます。
二二八事件の資料は常設展示、他の展示は時期によって変わります。
どの展示も高雄や台湾に関係あるものが多く、そちらも毎回楽しみにしているものの一つです。
ただ、二二八事件の展示は、高雄へ行く旅に必ずと行っていいほど見学しています。
同じ展示物をなんども。
特に行きたい!という気持ちがあって行っているのではなく、なんとなく行ってしまうのは歴史的な記憶を理解したいからかもしれません。
最近導入されたのか、こんな機械ガイドがありました!
80元でレンタルできて(レンタルする時に身分証を預けます)日本語も用意されてるので、時間がある方は借りてみてください。
ガイドの範囲は1階の高雄についての常設展示がメインですが、かなりの量の情報が入っていて、しっかりと学べますよ!
おまけ知識
ちなみに、この時代はドラマ(時代劇)も多いので、まずは台湾の歴史ドラマで学び、見学するのもいいと思います。
オール中国語&台湾語ですが「春梅」がおすすめです↓
出典:台視「春梅」公式サイト
もう一つおまけ情報。
市議会駅から博物館へ行く歩道にこんな標識があります。
成功への道。探してみてください^^
高雄市歴史博物館の詳細情報
高雄市立歷史博物館
時間:9:00~17:00(火曜〜日曜)
住所:高雄市鹽埕區中正四路272號
最寄駅:MRT市議会
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