台湾の南部、高雄に住んでいるRie(X rieasianlife、IG taiwanandasia1708)です。
台北から高雄に引っ越してまず感じたのは、「交通の不便さ」です。
もちろん、他の都市と比較すれば、高雄も決して交通が悪いわけではありません。ただ、私が行きたいお店に限って、地下鉄では行きにくい場所ばかり。さらにバスも気まぐれで、台北では頼りにしていた Google マップの時刻情報も、高雄ではだいたい当てになりません。
なぜかと言うと、高雄の人は“ほぼ全員バイク移動”だからです。
バイクがないと不便な場面が本当に多く、私も50ccの免許は持っていたので、まずはレンタルできる電気スクーターで移動し始めました。でも、それでは乗れる車種が限られてしまううえ、そもそも台湾では、原付よりも普通二輪から乗り始める人が多い様子。
ずっと「取らないとな」と思いながら後回しにしてきましたが、ようやく重い腰を上げて免許を取得してきました。この記事はその記録です。
取得する免許について
なお、受ける車両の種類によって必要書類などが変わるため、今回の記事の前提条件を先に書いておきます。
私はすでに、
- 日本の「準中型+原付(50cc以下)」免許を持っており
- それを 台湾の免許に切り替え済み
という状態です。
そのうえで今回取得したのは、台湾の「普通二輪(普通重型機車)」免許(250cc以下)になります。
日本の免許(準中型+原付)を台湾で使えるように切り替える方法はこちらの記事から
【台湾の生活】日本の免許証で台湾でも運転できるようになる方法「台湾の運転免許証を取得」
台湾での免許の名称一覧
| 台湾 | 日本 | |
| バイク | 普通輕型機器 腳踏車 駕照 | 原動機付自轉車 |
| バイク | 普通重型機器 腳踏車 駕照 ★ | 普通二輪(250cc 以下) |
| バイク | 大型重型機器 腳踏車 駕照 | 大型二輪、普通二輪 |
| 車 | 小型車 駕照 | 普通自動車 |
| 車 | 大貨車 駕照 | 準中型自動車 |
| 車 | 大客車 駕照 | 大型自動車、中型自動車 |
| 車 | 聯結車 駕照 | 牽引+大型、中型 |
完全一致な訳ではなさそうですが、大体のイメージこんなかんじです。
今回私が取得したのは、日本でいう 普通二輪・250cc以下に相当する免許、台湾での名称は 「普通重型機車(★)」 です。
いわゆる街中でよく見かけるスクーターの多くが、この区分に該当し、台湾で一般的に使われているバイクに乗れる免許ということになります。
免許取得までの流れ
こちらを条件として、取得までの流れはこちら
- 健康診断書「機車駕駛執照登記書」を取得する
- オンラインで試験の予約をする
- 試験を受ける
- 免許証を受け取る
試験で不合格の場合、2 に戻って、もう一度やり直しです。
健康診断書「機車駕駛執照登記書」を取得する
まずは、バイク免許の申請に必要な健康診断を受け、「機車駕駛執照登記書」(バイク免許取得用の診断書)を用意します。
この診断書は、衛生福利部や自動車管理機関が認めた病院で発行できます。もし会社の健康診断を受けるタイミングがあるなら、追加料金を払って一緒に発行してもらうのも便利です。
病院を探す際は、下記のいずれかで確認できます。
また、近所の病院の健康診断ページに 「駕照體檢」 と書かれている場合もあるので、そこから判断することもできます。
大きめの大学病院などであれば、比較的高い確率で対応してくれるところが多いと思います。
私は今回は、高雄醫學大學附設中和紀念醫院の検査センター「建康管理中心」(階段を上った2階)で受けました。
高雄醫學大學附設中和紀念醫院 建康管理中心(HP)
住所 高雄市三民區自由一路100號(自強大樓二樓)
高醫大の場合、60歳以下の免許取得者向けの必要書類と費用は以下の通りです。
- 時間:月〜金 8:00~16:30、土8:00~11:30
- 書類:身分証、写真2枚(2年以内カラー、1吋)※1吋:2.8cm x 3.5cm
- 費用:バイクの場合、150元。車の場合、250元。
高醫大の免許用健康診断については、公式ページをご参照ください。
検査内容は、身体測定・視力検査・聴力検査など、かなり簡単なものでした。日本の免許更新時に行う適性検査と、ほぼ同じ感覚だと思います。
英語での対応も可能ですが、中国語のほうがスムーズに進む印象です。特に視力検査では、上下左右・赤・緑といった言葉を使うので、最低限そのあたりだけでも中国語で言えるようにしておくと安心です。
- 上|上面(shàng miàn サンメン)Up
- 下|下面(xià miàn シャーメン)Down
- 左|左邊(zuǒ biān ズゥオビィエン)Left
- 右|右邊(yòu biān ヨウビィエン)Right
- 赤|紅色(hóng sè ホンスゥ)Red
- 緑|綠色(lǜ sè リュースゥ)Green
※カタカナはあくまで参考程度に
検査が終わると、その場で必要事項の記入やハンコ押しが行われ、およそ15分ほどで手続きが完了します。最後に、厚紙でできた 「機車駕駛執照登記書」(免許申請用の診断書)を受け取って終了です。
この 「機車駕駛執照登記書」の有効期限は1年間 です。
ここで注意したいのが、取得する免許の種類ごとに、この書類が1枚ずつ必要だという点です。今回はバイクの追加免許のみだったので1枚だけ取得しましたが、将来的に他の免許も受ける予定がある場合は、必要枚数をまとめて取得しておくと、再度病院に行く手間が省けます。
なお、高醫大の検査センターについては、問い合わせたところ予約不要とのことで、ふらっと行って受けることができました。ただし、病院によって対応が異なるため、事前に電話などで確認しておくのがおすすめです。
オンラインで試験の予約をする
免許センターで受ける試験は、2016年1月以降、すべてオンライン予約が必須になっています。現地の窓口では予約ができないため、必ず事前にパソコンから予約を行ってください。
ただし、このオンライン予約は少し手順が複雑です。ここから、予約方法を順番に説明していきます。
- 進入專區:専用ページに入る
- 進行測驗:簡易テスト(危險感知體驗)を受ける
- 測驗結果:簡易テスト(危險感知體驗)の結果をみる
- 登錄成績:簡易テスト(危險感知體驗)の結果を登録する
- 預約考照:予約をする
上記のこの簡易テスト(危險感知體驗)を受講をしないと先に進めないため、パソコンで作業をした方が良いです。
簡易テストは10問中8問正解しないと、予約ができない仕様になっています。また、結果発表後も問題の解説を全て見ないと先に進めません。
試験の流れ説明ページの一番下にある青いボタン「前往測驗」から簡易テストが開始でき、簡易テストをパスしたら、危險感知體驗紀錄查詢から登録した記録を検索でき、登録記録は1年間有効だそうです。
簡易テストに合格し、登録したら、いよいよ試験の予約を取ることができます。
試験は30日前から予約が可能になり、7日前の24時まで予約が可能(当日予約はできません)
おそらく地域によって差があると思いますが、私が受験した会場では予約枠がかなり少なく、実際に取れたのは 2〜3週間後の日時 でした。
人気の時間帯や日付ほど埋まりやすいため、早めに予約を確認することをおすすめします。
試験を受ける
予約が完了したら、あとは当日を迎えるだけです。
私は 「苓雅管理站」 で試験を受けました。
交通部公路局高雄市区監理所苓雅監理站(HP)
時間 8:00〜17:00(土日休み)
住所 高雄市三民區建國一路454號
高雄には、本番とまったく同じコースが線引きされている練習場がいくつかあります。
運転に不安がある場合は、友達のバイクを借りたり、レンタルスクーターを利用して、事前に練習しておくと安心です。
- 苓雅監理站機車練習場(平日日中のみ利用可能)
- 旧苓雅監理站場地(こっちは、地元の方がこっそり利用してます)
- 旗津中洲廣濟宮の駐車場
(他の県も練習場所もあると思うので、お近くの「機車練習場」を調べてみてください)
予約した会場に到着したら、予約完了画面に記載されている時間よりも前に報到(受付・到着手続き)を行います。
私の場合、9:30開始の実技試験でしたが、筆記試験は免除されているにも関わらず、8:30前には報到する必要がありました。
この時間に遅れると、試験を受けられなくなるので、余裕を持って会場に向かいましょう。
報到では、予約内容の確認と受験料の支払いを行います。
- 身分証明書(6ヶ月以上の居留証、18歳以上)
- 台湾の運転免許証(原付から切り替えの場合)
- 写真3枚(2年以内、カラー、1吋)
- 受験費用(筆記+実技 250元、実技のみ 125元)
- 機車駕駛執照登記書(1年以内)
- バイクレンタルする場合、レンタル費用30元
バイクを借りる
試験会場では、管理所のバイクを借りて実技試験を受けることができます。
借りる場合は、報到時にレンタル希望を伝えて料金を支払い、試験開始直前に来る試験官に領収書を渡すと準備してもらえます。
私が受けた 苓雅管理站 では、電動バイクの Gogoro(写真奥に写っているもの)をレンタルできました。
私は普段から、スクーターレンタルの Wemo や Gogoro(原付免許で一部車体が利用可能)を使っていたので、操作に慣れており安心でした。
通常は、みな自分のバイクを持参して実技試験を受けるため、会場のバイクを借りる人はほとんどいません。借りるのは、だいたい外国人くらいです。
免許を持っていないのに、バイクに乗って試験を受けに来る…という状況は、ちょっと矛盾していますけどね(笑)
実技試験「路考」
いよいよ、実技試験です。
私の場合、もともと台湾で原付に乗っていたため、筆記試験は免除されました。台湾の原付免許を持っていない場合は、筆記試験と、筆記後の120分の安全講習が必要になります。
もし日本で原付免許をお持ちの方は、一度、国際免許で台湾の原付免許に切り替えてから、普通重型バイクの試験を受けることを、個人的には強くおすすめします。
試験コースは、台湾のどの会場でも同じ経路になっており、詳しい合格基準や注意点を解説した動画もあります。
試験は 一発勝負 で、ミスは許されません。
そのため、事前にこの動画を何度も見て 頭の中でシミュレーションを繰り返し、試験に臨むこと をおすすめします。
会場に設置されている看板には、各減点ポイントが記載されており、100点満点中70点が合格点。
試験開始直前には、減点ポイントやコースのおさらい説明があります。
減点の影響はかなり大きく、30点以上の減点で即不合格。さらに、足を着いたり線からはみ出したりすると減点が加算され、すぐに不合格になってしまいます。
そのため、ほぼ完璧にコースを走らないと合格は難しいと考えておいた方が良いです。
ちなみに私は、1回目は不合格、2回目でようやく合格しました。(最大の難関である直線7秒をクリアして安心してしまい、次の信号の変化前に発進してしまったのが原因)かなりショックでしたが、こういうことはよくあるようです(笑)。
不合格になると、次の試験は7日以上間を空けないと受験できません。
その他、試験に関するルールや詳細は、中華民国交通部公路局の「考照相關規定」などをご参照ください。
免許証を受け取る
合格か不合格かは、はっきり口頭で伝えられるわけではありません。実技試験中に、試験官から名前が呼ばれなければ合格(呼ばれた場合は不合格)です。
無事に名前が呼ばれずに試験が終わったら、最初に報到した受付窓口の待合椅子に座って待ちます。
事務手続きが完了すると名前が呼ばれるので、そこで免許証発行費用(200元)を支払い、無事に免許証を受け取って帰ることができます。
大変お疲れ様でしたー!
免許証の期限について
通常、台湾の運転免許証は 6年間有効 で、6年後の誕生日に更新が必要です。
しかし、永久居留証を持っている外国人の場合は、免許証に 無期限 または 75歳の誕生日まで の期限が記載されます。私の場合も、取得した免許証の有効期限は 75歳 になっていました。
さらに、永久居留証を持っている外国人は、免許証の有効期間が満了しても 更新が免除 されます。つまり、実質的に 更新不要の無期限免許証 になるわけです。(これで本当にいいのか…?)
※2013年6月30日以前に台湾の運転免許証を取得した場合、券面上に有効期間が記載されていますが、台湾の永久居留証を取得した外国人であれば、券面上の有効期間満了後も同免許証は有効とされています。
現在、台湾では交通ルールの厳格化が進められていますので、将来的に法律が変わる可能性はあります。しかし、2025年時点では、永久居留証を持っている外国人は、一度免許を取得すれば一生使える形になっています。
なお、引っ越しやパスポート更新などで 居留証の情報が変わった場合 は、免許証も更新してください。手続きは、古い免許証+居留証+200元 を持参すれば、予約不要で対応してもらえます。
交通ルールを守って、安全で楽しいバイクライフ を!
まとめ
台湾で普通二輪(普通重型機車)免許を取得する流れをまとめました。
1)健康診断の受診
- 「機車駕駛執照登記書」を取得(有効期限1年)
- 大学病院など政府が認めた病院で対応可能
2)オンライン予約
- 2016年以降、全ての免許試験はオンライン予約必須
- 予約枠は少なめなので早めの予約が安心
3)試験当日
- 報到(受付)は予約時間より早めに
- 原付免許保持者は筆記試験免除の場合あり
- 実技試験では、会場のバイクを借りることも可能
- 試験は一発勝負、減点ポイントを確認して頭の中でシミュレーションしておく
4)合否と免許受け取り
- 実技試験で名前が呼ばれなければ合格
- 事務手続きで200元を支払い、免許証を受け取る
5)免許の有効期間
- 通常は6年更新
- 永久居留証保持者は75歳まで、もしくは実質無期限
- 居留証の情報が変わった場合は免許も更新
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