【台湾の文化】鬼に注意!夏のちょっと怖い伝統行事「中元節(中元普渡)」について

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台湾文化に興味があり毎回のイベントごとはしっかり楽しんでるRie(@rieasianlife)です!

日本になくて、台湾にある宗教的イベントの一つ「中元節(中元普渡)」。

農歴7月15日に開催される、少しこわ〜いイベントです。

今回は、そんな中元節について解説してみようと思います♪

 

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台湾の夏には、鬼門が開く!?

 

道教では、人は三魂七魄(魂:精神を支える気、魄:肉体を支える気)を有していると言われており、死後、七魄が分離し、三魂が残ります。

その残った三魂が鬼になると信じられています。

 

鬼門とは、文字通り魔界とつながっている鬼の門のこと。

農歴7月1日に様々なタイミングが揃うことで、この鬼門が開き、通常は分かれている人間界に、様々な鬼がやってくると言われています。

台湾では、農歴7月1日(初一)を「鬼門開」、7月31日(三十)を「鬼門關」と呼び、鬼達のことを「好兄弟」と呼びます。

そんな好兄弟が悪さをしないように、農歴7月15日に沈めるため「中元普渡」が開催されます。

 

台湾で使用されている3種類の暦(こよみ)について

 

ちなみに、鬼門が開く時、基隆老大公廟という廟で扉を開ける儀式「開龕門」が行われるらしいです。(一般人は閲覧不可)

参考:揭開鬼月序幕…基隆老大公廟「開龕門」 廟方揭晚關門原因

 

 

中元節と中元普渡について

 

「中元節」だけでいうと実は、「地官誕(三官大帝の一人、地官大帝の誕生日)」という意味。

ちなみに、他の三官大帝の誕生日「上元節(天官大帝の誕生日)」「下元節(水官大帝の誕生日)」もあり、総称「三元節」と呼ばれています。

なので、好兄弟への対応であれば、中元普渡(盂蘭盆節)と呼ばれることが多いです。(ただ、全体を中元節と呼ぶこともあります)

 

 

農歴7月前になると、スーパーやコンビニでよく「中元普渡」と書かれた大量のお菓子の山が販売されだします。

普渡とは、道教「廣行佛法,以救眾生」という言葉からきています。

農歴7月15日が一番盛り上がる時期と言われており、その時期に「普渡(大まかに訳すと、仏法を用いた救い)」を行うという意味になります。

2021年の中元節は「8月22日(日)」になります。

追記:2022年は、「8月12日(金)」です!

 

中元普渡の様子

 

「地官(地官大帝)」、「祖先(ご先祖様)」、「地基主(土地神様)」、「好兄弟(鬼)」の順にお参りを行います。

お参りする時間は、正確には神様によって違うようです。

  • 地官(地官大帝) :農歴7月15日正午または7月14日の深夜。
  • 祖先(ご先祖様) :農歴7月15日正午。昼食の前(お参りをしてそれを食べます)
  • 地基主(土地神様):農歴7月15日午後。太陽が沈む前
  • 好兄弟(鬼)   :午後1時〜5時の間。1時間以内、太陽が沈む前に完了させます。

 

お供え物「三牲四果」

中元節は、お供物にもルールがあります。

間違ってしまうとせっかくお供えしてるのに、好兄弟を怒らせてしまうので要注意です!

 

三牲:雞、豬(豚)、魚

 

用意するものは、好兄弟達が好きな場所を食べれるように、切り身ではなく、丸々の一匹のチキンと魚です。

魚はスルメを置くところもあるようです。

豚は、豚足を置くこともありますが、内臓は置いてはいけません。

また、ベジタリアン用の「素雞、素豬、素魚」をおいたり、その形をしたお菓子を置くこともあります。

 

四果:四季の果物

 

例えば、りんごは、「蘋果(ピンゴー)」音が似てることから「平安(ピンアン)」と置くことが一般的で、3か5など奇数を用意します。

バナナ、スモモ、梨、パイナップルは台湾語の発音にすると「招、你、來、旺來(いらっしゃいませ)」という意味になってしまい、好兄弟を大歓迎する意味になるのでNG。

また、芭樂(グアバ)、トマト、釋迦(釈迦頭)も種が多く、食べた後、好兄弟が排泄をしやすくなるので不潔とされダメらしいです。

さらに釈迦頭は、お釈迦様の頭という意味なので、好兄弟たちも嫌がりますよね。

 

その他

 

白ごはん、お菓子や缶詰、カップ麺などもおき、全ての袋に1本ずつ線香を刺し、好兄弟たちに「見つけたら食べていいよー」という目印をつけてあげます。

線香の熱で袋に穴を開けてそこに差し込むのがコツです笑

また、洗面器に水とタオル、歯磨きや石鹸などをおいて、好兄弟が汚れた口を拭いたりできるようにします。(ただし、お祈りした後タオル類は、家に持ち帰ってはいけないらしいです)

 

 

なんと最近では、動物の好兄弟のためにペット用のご飯とお水も置いてるところもありますよ!

好兄弟たちが悪いことしないようにと「乖乖(いい子)」という名前のお菓子を準備するところも多いです。

参考:2021 中元普渡(8/22)普渡供品/三牲四果怎麼拜?祭拜好兄弟禁忌事項懶人包!

 

関連イベント

搶孤は、テレビ放送されます

また、「搶孤(宜蘭頭城、屏東恆春で開催される旗を奪い合うイベント)」「跳鍾馗(八家將、官將首などが出陣する廟イベント)」「放水燈(鷄籠中元祭、水死した霊を鎮めるため水に灯籠を流すイベント)」なども開催されます。

以下、各イベントの公式サイト(2021年はコロナの関係で一般公開されない可能性が高いです)

 

 

また、この時期になると中元節関連のCMもたくさん流れます。

そのCMがすっごく面白く、私はいつも楽しみにしています。

 

引用:momoの限定サイトより

このほかにもECサイトではキャンペーンイベントも多数行われていますよ。

 

追記:2022年の全聯のCMは、台湾の中元節文化がすごくわかります!

 

鬼月に行っちゃNGな場所!

 

鬼月が開く1ヶ月間も行ってはいけない場所があります。

様々な言い伝えがありますが、今回は、よく言われる代表的なものをご紹介!

 

戲水(水で遊ぶこと)「鬼月戲水抓交替(鬼月に水で遊んでいると、捕まえられて交換される)」と言い伝えがあり、水には近づかないようにしましょう。夏ですが、海や湖など水場で遊ばないようにと言われています。

看房子(家を見にいく)風水を重視する台湾では、農歴の7月は、仕事を始めたり、引越しをしたり、家を買ったりすることなどは不吉とされています。引っ越しすると「あれ?一人増えてる?」のようなことがあるそう(怖)好兄弟が住み着いてしまうのを恐れている声もあり、不動産が動かない月だそうです。

夜晚出遊(夜遊びに行く)好兄弟は陰氣(陰の気)が多い場所に集まりやすく、できるだけ避けた方が良いそう。また、太陽が沈むと体の中にある陽の気が弱まるので、暗い時間は特に注意が必要です。

荒郊野外、山林(郊外の山の中に行く)涼しくてくらい森林なども、陰の気が多く、好兄弟が集まりやすい場所。この時期は、山登りやキャンプなども避けた方が良いそうです。

宮廟(廟)様々な言い伝えがありますが、民間信仰で言われていることの一つに、農歴の7月は好兄弟に遊ばせるため、神様があまり事務仕事をしないと言われています。そのため、の期間は線香の香炉を閉じる廟もあるらしいです。特に陰廟には近づかない方が良さそうです。

醫院(病院)病院は、生死の陰陽境目ということもあり、陰の氣も重い場所。お見舞いは午前中に行い、できれば手術などもしないよう、子供や老人など体が弱い方は入らない方が良いと言われています。

髮廊(美容院)鬼月は髪を切るのもあまり良いとされていません。髪の毛も体の一部なので、それを傷付けるのも不吉だと言われています。

 

 

また、他にも

  • 夜写真を撮ってはいけない(好兄弟が映り込むかも)
  • 結婚式に行ってはいけない(お嫁にいけなくなるらしい)
  • 振り返ってはいけない(好兄弟が呼んだのかもしれない)
  • お金を拾ってはいけない(好兄弟のお金かもしれない)
  • 夜に服を干してはいけない(好兄弟が部屋に入ってくるかもしれない)
  • 口笛を吹いてはいけない(好兄弟を引き付けるかもしれない)

などもあります。

 

参考:鬼月禁忌「7個地方」不宜去!宮廟神明此時「不辦事」?「剪髮」更容易生病倒楣!
参考:民俗月禁忌有這些 網友熱議「納涼鬼屋」一次看

 

終わりに。

 

実は、中元節(中元普渡)を私は旅行者時代は知りませんでした。

廟に行くと何かしらイベントやお供えがされてはいますが、特にこの時期が中元節という名前で、かつ、こういう意味があったなんて。

台湾で仕事を始め、会社が入っている建物の催しの一つとして、やっと理解することができました。

中元節は祝日ではありません。

みんな勤務時間に、時間を合わせて社長・支店長などが先頭に立って線香をあげ、全員で会社の安泰や平安を祈ってお供えをします。

なんだか雰囲気は、日本の初詣のようです。

各業種によってお供えするものが違ったり、規模が違ったりするけれど、やはりしっかりお供えをし、好兄弟たちをおもてなしします。

とっても賑やかな宗教行事で、個人的には興味深くて大好きなイベントの一つ。

もし台湾にいらっしゃる際には、季節ごとの宗教行事も観察して、準備されてる方に是非由来などを聞いてみてください。

面白い話がたくさん聞けるかもしれないですよ!

私もスタッフの子にいろいろ教えてもらっています^^

 

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